boban10ban’s diary

ごく普通の41歳のサラリーマンが、日々のあれこれをつぶやいております。

本の感想

【地味のあるデザイン】
小泉誠著

  久々にデザイン関係の本を読みました。家具の仕事をしていると、おのずと小泉さんの仕事に、間接的ですが触れる機会があります。くしくもこの本を読んだ翌日にとある得意先で「kitoki」プロジェクトに参加している若葉家具さんの営業部長とお話をする機会を得ました。(本を読んでいてヨカッタァ)
「今は売り込みに行くことはほとんどありませんよ」
そう仰っていました。取り扱いをしたいというお店がたくさんあって、どこと真剣に取り組めるか、相手先によってはお断りするところも多々あるそうです。
  小泉さんのお仕事は、本の中に書いてありますがじっくり時間をかけて息の長い商品作りを心がけているそうです。生まれてくる子供を大事に育てるように、そういうもの作りに共感してくれる得意先を慎重に吟味してお付き合いを続けていく。「地道に」=「地味のある」デザインを世の中にじわじわと浸透させていく。言葉遊びみたいですが、この「ジミ」に似たような言葉がぴったりなコンセプトなんです。
  ファッションのような派手さはなくても、地道に地味にジワジワとファンが集まり続けると、息の長い商品として企業の存続に貢献できる商品になる。若葉家具さんのお話でもそれははっきりと感じました。
  使い捨てのファストファッションがもてはやされており家具の世界でもニトリIKEAを筆頭に安い物を売る会社が勢いを持っています。多くの古くから存続している家具屋さんは、どうしても敵対関係にあたるのでそれらの会社を良くいう所は少ないんです。でも悪く言う割りにはすぐにでも売れる商品ばかりを求める傾向があって、僕たちメーカーもそれがニーズだと思い商品開発を行うんです。そうすると商品のコンセプトや開発の思いなんてものはほとんど無視されて、結局結論は一緒、ファストファッションな家具にたどり着いてしまうんです。
  
小泉さんのお仕事は、ハッキリとクッキリとそういう世界とは一線を画しております。だからと言って、世の中に対して斜に構えているわけでもなく、本当に素敵な仕事をされているなぁと思いました。

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