本の感想
【超弦理論入門】
大栗博司著
内容がとてもわかりやすくて、すらすらと読むことができました。
物質の基本を「点」ではなく「ひも」として考える。点では辻褄の合わないことが、ひもとして考えると辻褄が合う。もはや直感として受け入れ難くとも、理論上はそれが正しい方向性だと示されています。ノーベル賞受賞者の湯川秀樹さんの提唱された「拡がりを持つ素粒子」に触れ、今、「ひも」はまさにその素粒子であることから、当時湯川さんの時代を先駆けたビジョンの持ち方に尊敬の念を示されております。
この超弦理論は実験理論ではないということで、計算された中でもっともな理論を今後の実験検証を通じてより確固たる体系に仕上げていくのだという締めくくりでした。
正直実験がない分だけ、文系頭には途中で
「で、このことは何を示しているんだろう?」
と、現実との接点を見失ったまま読み進むところもありました。例えば超弦理論によると次元は『9』あるんです。僕たちが当たり前のように感じる『3』ではないんです。では、9次元の世界が本当の世界だとしたら・・・その先にある解釈が僕としたら面白みを感じるポイントだったので、そこは理論の話の領域を超えてもっと空想のような話しを膨らませてみてもいいのにと感じました。まぁ、それは本のページ数の限界やテーマとの乖離もあるでしょうし、また別の機会にということでしょう。