本の感想
【三国志】
北方謙三著
登場人物を徹底的に男に仕立て読ませてくれるので、史実というよりフィクションみたいに楽しめます。
曹操が逡巡する姿。
関羽という男は、呉との同盟に一片の疑いも抱いていないに違いない。(中略)
信義というのは、関羽にとって絶対のものだ。」
関羽という英傑を、屈服させるだけの大きな器でありたいと思い続けた曹操にとって、理にかない過ぎた戦略で打開を図る曹丕と司馬懿の謀略は馴染まなかった。敵でありながら尊敬の念を持ち、かつ配下に組み入れたいと自分の美学を貫き通す曹操が、若い者たちの進言に屈する姿は
「曹操、老いたな!」
と思わされました。
いやはや楽しい。
強さの象徴のような男達。その心の奥底にある悲しみや優しさを、丁寧に描いた物語。
無情にも訪れる死。
「彼らが死なないで生きていたなら」
なんていう想像するのも楽しいです。